君が居ない世界なんて、考えられない。
「なつめ!なあ、棗っ」
息が切れ切れに後ろから彼女が呼んでるのが分かる。
それでも聞こえない振りをしてただ前に走り続け行く場所なんて何処にもない。
今の自身では彼女を守ることなんて出来ないのは分かっている。
でも彼女が"外に行く"と口にした時、身体が勝手に動いてしまった。
強引に手を掴み取ったら彼女は驚いて目を見開いたがその手を引っ張って校長室を飛び出した。
此処から居なくなる。会えなくなる。
そんな事実が今さら頭の中を駆けめぐり、沸き上がってきた彼女と離れたくないという想いに身体は従い行動を興した。
自分のことしか頭にない身勝手な行動。こんなことをしても皆に迷惑がかかるだけで何にもならないのは分かっている。
分かっているのに、どうしようもない。
不意に減速して立ち止まり、息を切らしている彼女の方を振り向いた。
「・・・・蜜柑、」
君に願うことはただ一つ。
世界を敵に回してください
(離れるなんて出来ない)