『学園アリス*棗と蜜柑』
最終改訂 2009.10.24
馬鹿なことをしていると自分でも思う。 彼氏が居るというのに、なんで合コンなんかに参加しているのだろうか。 ちょっとしたことで意見が食い違い、我慢出来なかった自分は怒りに任せて家を飛び出してきてしまった。 そして勢いで野乃子ちゃんとアンナちゃんとこんな所に来てしまったのだが、つまらない。 棗が居ない所なんて、つまらない。
さっきから隣には、茶髪で耳に幾つものピアスを付けてヘラヘラとした男がしつこく話しかけてくる。 メアド教えてよ、とか、蜜柑ちゃんって手が綺麗だね、なんて言いつつ触ってきたり。 答える気になんてならないが、野乃子ちゃん達に誘われて来た手前、邪険にすることは出来なくて、 ニコニコと愛想笑いを浮かべて流しているがそれも限界が近い。 やっぱり棗じゃなくては駄目だ。
そう思っていると突然、隣に居た茶髪の男が吹っ飛んでいった。 驚いて吹っ飛ばせた人の顔を見れば。

「・・・手間かけやがって、」

みかん。 はあとため息に似たものを吐いた彼の息は荒い。 じわっと涙腺か緩まって瞳が湿ってきた。 零れそうになるものを上を向いて耐えると、腕を掴まれて立たされ、否応なくその場を後にされた。 あとで野乃子ちゃんとアンナちゃんにはメールしておこう。
ごめんねと、大丈夫だよと、ありがとうのメール。



君が私のすべて
Copyright © 2009 Sacrifice all rights reserved.