学園から支給される小遣いのみならず、密かに日夜バイトして貯めてきた貯金を使う日がついにやってきた。流した汗水も全てはこの日のため。
「ククククールブルースカイっ、俺とクリスマスディナーに行かないか!」
いつもの如く神出鬼没に道端の茂みの中から飛び出し唐突にそう誘う。びくりとクールブルースカイの細い肩が揺れたじろがれた。しかしそれに物怖じせずにずいと彼女との距離をつめる。
「・・・・嫌よ」
「なっなんでだよ!」
拒絶の言葉に引き下がるどころかすぐさま食らいついた。こういう誘いを断られるなんていつものことであるが、今日はそう簡単に諦められない。
「だって、恋人でも知人でも何でもない貴方と食事する筋合いなんてないでしょ」
相変わらずのぐさりと突き刺さる冷たい言葉に打ちひしがれたが、胸は戦慄いた。だが知人とすら認識されていなかったとは・・・・そりゃあ元は攻撃してきた敵で出会いは最悪だったし良い印象がないのは分かるけどこんなにも慕っているのに酷い仕打ちだ。
しかし、だからと言って諦めるほど自分は弱い人間じゃあない。
「お前の言う通りだけどさっ、」
「・・・・だいたい、」
何を言われるのだろう。また拒絶の言葉が飛び出すのだろうか、と身構える。例え何を言われたとしても今回ばかりはOKしてくれるまで此処を梃子でも動くつもりはない。
さあ何でもこい!
「クリスマスは昨日よ」
計算外のその言葉の意味がよく分からずに硬直する。―――クリスマスは、昨日。つまり今日は26日であり25日のクリスマスはもう過ぎていて・・・・・
やっとのことで意味を理解すると、"俺のばかああああ"という壮絶な叫びがクリスマス明けの空に響きわたった。
クリスマス・アフェア
(・・・・ほんと馬鹿な人)