好き。大好き。愛してる。
胸の内の何処からか、際限なく沸き上がってくる気持ち。
言葉にしても態度で表しても、伝えきれなくて。
どうすればいいのだろう――――
"こと"が終わった後のベッドの中でのゆったりとした時間。
体は疲れているのだがやけに目が覚めて眠れない。
自身と同じように眠れないのか、付き合ってくれてるのかは知らないが、彼もまだ起きてるようだ。
そんな彼に抱きしめられる形で触れ合っている素肌から直に伝わってくるのは、自分とは違う体温。
包み込むように穏やかな温もりが心の底まで癒してくれる。
「ウチは、棗と兄妹で生まれたかったな」
「は?」
ポツリとそう呟くと怪訝そうな声が上から聞こえてきた。
それに柔らかに微笑み、彼の背に回している腕の力を強くする。
幾らこうして肌を重ねても、結局は血も何も繋がらない赤の他人同士。
家族だったなら、どんなに否定しても拒んでも消せることが出来ない繋がりがある。
同じ血が流れて、同じDNAを持って。
恋人という関係で、こうして一緒に居られるだけでも十分だったはずなのに。
「ウチは我が儘なんや」
彼のことが愛しすぎて現状では満足出来なく、そんなことまで望んでしまう。
何時からこんなに欲深くなったのか分からない。
馬鹿みたい、と彼は笑うだろうか。自分でもそう思うぐらいだし。
ふうと息を吐いて目を閉じた。
「・・・好きや、棗」
好き。大好き。愛してる。
その言葉しか知らない赤子のように幾度も繰り返し呟く。
嗚呼、もうこれは病気かもしれない。
貴方無しでは生きていけない、中毒症状。
君中毒