月例で行われている三校長の集まりは身体の疲労よりも心労が耐えない。
自身を含めたこの三人はどうしてこうも折り合いが合わないのだろうか。
多分一生このまま険悪な関係なのだと思う。
コーヒーでも飲んで疲れを取ろうと、足早にしてたどり着いた校長室のドアノブを回しながら考えていたその時。
「誕生日おめでとっ、一兄!」
ドアを開けた瞬間に大きくも小さくもない爆発音が耳に響き、呆気に取られた。
そんな自分に追い打ちをかけるように細長い色の付いた紙テープが幾つか頭や身体に乗る。
クラッカー、だ。
「・・・何をしている」
まとわりついている紙テープを床へ払い落としながら怒気を含んだ声音で楽しそうに笑っている自身の弟にそう言った。
帰ってきた途端にあんな物を受けて黙っていられるわけがない。
「一兄の誕生日、お祝いしようと思って」
自分のことのように嬉しそうに言われて、今日が何の日か気がついた。
嗚呼そうだ、今日は自身がこの世に生まれた日。あれはもう何年前のことになるのだろうか。
誕生日を迎える回数はもう覚えていないほどで、特別な意味なんてとうになくなっていたしどうでもよくなっていた。
「べつに祝ってくれなくて良い」
これから先も不老不死の自分はこの日を果てなく迎えるのだから。
わざわざ祝ってもらう必要が何処にある?
「そんなこと言うなって!年に一度の大切な日なんだから」
ケーキや御馳走も用意したんだ。
そう言われて部屋を見れば大量の料理が置かれていた。
そしていつのまに用意したのか部屋の中が賑やかに飾られている。
まるで幼稚園児の誕生日パーティーのようだ。頬を緩め、くっと喉奥を鳴らした。
「・・・・こういうのも悪くない、かもな」
小声でもらしたその言葉は再び放たれたクラッカーの音にかき消されていった。
君に贈ろう
(とびきりの感謝と祝福を)